雛菊の剣

「俺はそいつに鍛えてもらい、自分より速い奴と闘う方法を教えてもらった」
「ちょっと待て」
冷たい目をした男が口を開いた。
「飛燕よりも速い奴がいたことを事実だとしよう。飛燕より速い奴が何故自分より速い奴と闘う方法を知っているのだ。そいつより速い奴がいなければ、その方法は机上の空論だ。次々と更に速い奴が出てくるお前の話は飛燕の言う通りほら話としか思えぬ」
九郎がニヤリと笑う。
「そいつは瞬間移動できる男と闘ったんだ」
「瞬間移動…」
「けー！ほら話もそこまでいくと聞いていて情けなくなるぜ」

「ぴーちくぱーちくとうるさい奴らだ。俺と闘えば分かる」
「けー！さっきはわざと刺されたってか？」
「いや油断してた。心臓を守るのが精一杯だった。お前、かなり速いよ」
「かなりだと…」
「さあ、かかってきな」
九郎の右腕のひじから先が硬化した。
「ぶっ殺してやる」
その言葉が終わらぬ内に飛燕は九郎の懐に入り、刀を突き出した。刀が胸に突き刺ささり、九郎の右拳が飛燕の頭をとらえようとした。飛燕は瞬時に後ろへ跳んだ。九郎の右拳は空を切り、刀が抜かれた胸から血が吹き出した。
「けー！皮を斬らせて骨を断つが、肉を斬られただけってかぁ」
同じ攻防が幾度か続いた。出血のため、九郎の顔は青白くなり、少しふらつき始めていた。長身の男が叫んだ。
「いたぶってないで、さっさと決めろ！」
冷たい目の男がつぶやいた。
「飛燕もここまでか」
飛燕の刀が突き出される直前に九郎が身を低くした。飛燕は空を突いた刀をそのまま振り下ろそうとしたが、九郎の右拳が下から突き上げられてきた。飛燕は慌てて後ろへ跳ぼうとするが、九郎の左手がその脚を払った。飛燕の体がふわりと空中に浮いた。
「飛んじまったな」
九郎の右拳が振り下ろされた。目を閉じる陽子。飛燕の頭は床と拳の間で壊れた。
長身の男が吐き出すように言った。
「なるほど。空中に浮かせてしまえば、スピードは死ぬってことか。つまらん」
「外れ」
「悪魔だよ」
冷たい目の男が言い放った。
「正解。俺は悪魔の弟子だ。まだまだ修行中だがな」
「では、悪魔である俺には勝てんな」
「悪魔ってなんだ？」
「お前たちには分からないことだ。包！」
冷たい目の男の声で、あっという間に長身の男と痩せた女が九郎の両側を挟む位置についた。
「落！集！」
三人が指に挟んだ三本の苦無をいっせいに九郎に向かって投げた。

－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－

つぶやいてます。Twitter @inomama2

私が書いてるブログです。よろしく！

・愛のままに我がままにブログ
　映画等気ままに書いてるメイン・ブログです。

・『シャッフル』
　自作の長編小説です。漆黒のiPodから始まった事件はどこへ向かうのか…。

・『レボリューション・ファイアワークス』
　自作のSF小説です。奴隷階級のハナビが助けた少年はパイロキネシスを持っていた…。

・『レッツ・ダンス』
　自作のフィギュアスケート小説です。ロシア・オリンピック、高橋大選手の金メダルの演技に会場全体が沸く…。

・『雛菊の剣』
　自作の学園小説です。豊高の不良たちに絡まれる雛菊と陽子。雛菊は顔を見せぬ青年に救われる。屋上に残された白骨死体。彼の目的は…。

・運動ダイエット
　Wii Fit Plusを使ってのダイエットをまとめています。成果出てます！

・Wii Fit ダイエット ブログ
　Wii Fit Plusを使ってのダイエットの日々の記録です。

・楽天ポイントを貯めよう
　楽天ポイントの獲得履歴とお得情報。

・株式投資入門
　趣味でやってる株式投資の経験からこれから始めようという人に向けて書きました。

・株式投資ブログ
　趣味でやってる株式投資の日々の取引状況です。